グルームスーツは、その後どうなったか?
結婚準備の過程をレポートしてお伝えしていますが、今回は11月5日に「グルームスーツについて」の記事で注文したバロンタガログがその後どうなったかです。ー

州都カラパンのブライダルブティックF&Fの話では、私が持ち込んだ写真の見本のシャツはサンタナという輸入素材、スラックスは別素材とのことで、双方ともブラカンの業者に問い合わせ在庫確認するが、なかったら同じ色味で感じが近いものを見つけるとのことだった。そして、次のステップは素材が届き次第連絡をくれ、私が確認する手筈だった。

ところが、待てど暮らせどテキストが来ない。心配になってカラパンを訪れるたび店に立ち寄って確認していたが、まだだまだだというばかりだった。最初にデポジットはとうに支払ってある。12月に入っても連絡がなく、周りの人たちも、まだグルームスーツが用意できてないなんておかしいと話すので、こちらからしつこくテキストして催促してみた。

すると、驚くべきことに、まだ素材を探しているが見つからない。いま手元にある素材だったらできるが、それだと刺繍飾りは施せない、とのたまうではないか。これではぜんぜん話が違う。刺繍は後から施すとの話だった。駆けつけてみると、「サンタナ」は写真のイメージとは違う代物だった。

店主の話では、刺繍入りのものを探したが見つからなかったとのこと。刺繍するといったじゃないか、というと、そうじゃない刺繍入りのものを探したのだという。なんだか訳がわからない。とにかく、多少エクストラを払っても刺繍を施してくれ、というと、いまからではもう1月3日に間に合わないという。

十分時間があったのに、なんてことだ。ハンドメイドの刺繍職人がおらず、マシンメイドを頼んでも高すぎるし、なによりもう時間が足らないという。なんでもっと早く知らせてくれなかったか、というと、最大限の努力はしたといって、あたかも落ち度はないかのようである。

あ〜。すっかり落胆して肩を落としていると、彼はデポジットは返すから、バタンガス州のタール(Taal)へ行けという。そこなら必ず希望のものが見つかるし挙式に間に合うという。「フィリピンだから」といってしまえば説明がつくことだが、毎度のことながらいつもこんな風に計画通りにことは運ばぬし、予期していなかった出費が次々出てくる。

だが、時間や金の無駄遣いだとは思わぬ方がよい。なぜなら、それがフィリピンだからで、そのままずるずるいくのが当地でのやり方だからだ。東京弁でストレートにものを訊ねてストレートに答えが返ってくるようなことはあり得ない。本音に辿り着くまで多くのステップや一見無駄金を使って回りくどくいかねばならない。

タール(Taal)の名は当地プエルトガレラでも有名で、何人もの人から、いいウェディングドレスをいい値段で手に入れたかったら「タール」へ行け、といわれていた。ところが、そういう本人たちも、具体的にどこにあるのか、どう行ったらいいのか、と訊くと答えられず、私には半ば“伝説化”された店のように思われていた。

ある者はバタンガス市内にあるのだというし、ある者はタガイタイ、いやタガイタイに行く途中にあるという。そんな説明から、私はタール(Taal)は店の名だと思い込んでいたのだが、F&Fの主の話だと、多くのブライダルブティックが固まっていて、文字通りタールシティにあるとのことだった。

taalmarket

バタンガス港からジプニーを乗り継ぎ、1時間以上もかかって降り立つと、パブリックマーケットと思しき敷地にそうとうの数のブライダルブティックが軒を並べていた。バクラランよりも数が多く、ディヴィソリア並みに多い感じで、パッと見、品揃えはディヴィソリアより豊富で、デザインも優れている。

フィアンセのウェディングガウンは結局ディヴィソリアで揃えたのだが、最初にここに来ときゃよかったかな、とも思った。ところが、実際に一軒一軒バロンタガログを探しはじめて、印象は変わった。相対的に値段が高く、外国人と見て値段を吹っかけてきているようにも見える。

最初に入った店で見本の写真を見せると、バロンタガログはきなりがかったピニャ(Piña)素材がほとんどだから、純白のものが欲しければオーダーメイドだという。布地を持ってきて、こういう風に作るのだというので、いくらだと訊くと、なんと10,000ペソというではないか。花嫁衣装より高いくらいである。

もともとタールが有名になったのは、ピニャのオリジナル生産地でバロンタガログに使われていたそれはウェディングガウンにも使われるようになり、それに伴い他のデザインに用いられる布地も生産してウェディングドレスの総本山と見なされるようになったとのこと。だが、イミテーションでないピニャが高いのはわかるが、そうでないものまで高いのはどういう訳?

2件目に話し込んだ店の主はバクラで、写真を見せるとこちらの要求に答えてくれるとした。見積りは3,500ペソ。最初の店の見積りより半値以上安いが、まだまだ高い。一通りお店を見て回ってから決めたいというと、強引にテーラーに連れていき寸法を取った。

私が持ち込んだデザイン見本の解釈は、カラパンのお店の解釈とだいぶ違っていて、カラーは普通のバロンタガログのカラーを立てているのでなく、これはチャイニーズスタンドカラーだという。それから、ボタンについても第二ボタンだけが金属製なのでなく、全部そうだが他は隠れているだけだと断定した。(詳しくは「グルームスーツについて」参照。)

バロンタガログの本場だし、こうしたオーダーには慣れているようだ。こちらはドレスメーカーでないので聞き入れる他ない。だが、バクラはその後も、お店に戻ってクロージングトークを続けようとするではないか。おまけに、挙式でメイクアップアーティストを買って出るなんていっている、、、。あまりに調子よすぎる。また戻ってくるから、と店回りを続ける。

chonas&organza

"Chona's Embroidary"(チョナの刺繍)の看板があって、バロンタガログも販売しているらしき店があった。一応、と思って声をかけてみると、年配の女性が猛烈な勢いでセールストークをはじめる。気圧される訳にはいかぬので、写真を見せてこちらの希望を説明すると、神妙な顔つきで耳を傾けている。

そうして従業員のひとりが持ってきたのが上の写真の布地だった。中央に立っているのが女主人のチョナさんである。オルガンザ(Organza)といって、これに刺繍を施しアウターにし、下の写真のアルファジナリネン(Alphagina linen)をインターとして二重構造にするとのこと。写真のアルファジナリネンはクリームがかっているが、純白のものを見つけるといった。

alphaginalines

今回こだわったのは、純白のサテン地のウェディングガウンと対になる、純白のバロンタガログという点で、彼女は私の希望をよく理解してくれたように思われた。パンツの布地はやはり上着とは異なるものだが見つけることができるといい、クリスマス前には納品できるという。しかも、刺繍はハンドメイドで施すという。いくら? 2,500ペソ。決定である。

早速、ひとりの女性を呼び寄せ写真を見せながらデザインの説明をするが、こういう新しいデザインは苦手らしく、他の人を使いをやって呼んだ。すると、驚くことに、来たのはあのバクラである。そして、こんどは別のテーラーに私たちを連れていって先だってと同じような説明をしだした。テーラーは高齢の男性で、私たちの説明に穏やかに頷いていた。

バクラに、悪く思わないでくれというと、いくらだ?と訊いてOK, OKといった。驚くことに、彼はチョナさんに雇われて別の店の店主をしていたのだ。このタールのブライダルブティック街には、支配層と被支配層のお店が混在しているようで、材料を提供する側である刺繍業者あるいは布地業者が力を持っているように思われる。いい品を安く手に入れるには、そうした業者に辿り着くことが大切だ。

だが、そんな道案内なんてないし、実際に多くの店に当たってみるしかない。タールは有名だけあって外国人を含め多くの新郎新婦が訪れるようで、まずはフィリピン人しか訪れぬディヴィソリアやカラパンのマーケットと違って、プエルトガレラ同様に金がありそうだと見るや吹っかけてくるようだ。チョナさんに巡り会えたのはラッキーだった。

怒濤のセールストークに、フィリピン人商人にありがちな押しつけ商法かと最初訝ったが、商売熱心なだけで、私たちにアドバンテージを取る素振りもなく、私たちの要求をフェアに扱ってくれた。やはり、こういう人との出会いがあってこそ初めて結婚式は幸せなものになれるし、そういう人たちにお世話になって挙げる式はうれしいものだと思う。

alphaginalines

タールは古い民家や建造物が残る歴史的な街、Taal Basilica(タール聖堂)には多くのカトリック教徒が巡礼で訪れるという。そのBasilicaはブライダルブティック街のすぐ側にあって、私たちもショッピングの後に立ち寄った。私は疲れて外で腰を降ろしていたが、フィアンセが中に入って上の写真を撮ってきた。ここはアジアか?と思える、欧州顔負けの建築である。

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Above photos by Maricel & Tetsuya: copyright © 2008 Tetsuya Endo. All rights reserved.

こんなことのために、始発のバンカで出て最終のバンカでプエルトに戻る一日仕事で、ムーリエ港に着くとすっかり夜の帳が降りていた。ご苦労なことだが、フィアンセにはもう一度タールに行って完成品を受け取ってきてもらうことになっている。LBCで送るとより高くついてしまうからだ。できてきたら、またご紹介させていただこうと思う。

テーマ:結婚準備 - ジャンル:結婚・家庭生活

【2008/12/12 17:54】 | フィリピン人との結婚への道(実体験) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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