プエルトガレラウェディングの新郎新婦のハイライトは、バンカボートに乗ってのショートトリップにある。挙式を行う場所とレセプション会場の組合せで、さまざまな“バンカトリップ”が演出できるが、私たちの場合、街中の教会で式を挙げたので、すぐ隣のムーリエ港からプエルトガレラ湾を出てナグラビーチに向かうルートを取った。
ローカルではまずこんなことをする輩はいないので、教会を出ておもむろに歩き出した私たちを訝しげに眺める人たちも多かった。列席者皆に伝えていたわけでない一種の“サプライズ”だったし、もう予定より1時間半も遅れてしまっていたので、数分の道のりを黙々と進んだが、私たちだけが知るいたずらを仕掛けるようで何か愉快だった。


約束の時間をとうに過ぎていたが、ペデルは待ってくれていた。この船出はまったく新郎新婦の自己満足なのだが、プエルトガレラで結婚して、やはり海に出ることからスタートしたかった。思った通り、挙式を終え、達成感で火照った身体を打つ潮風は、とても心地良い。いつもと同じ風景なのだが、瞼に焼き付けたいような、全身で記憶を刻んでいるかのようだ。


ナグラビーチに直接接岸するつもりだったが、プエルトの常で晩になって波が立ち、しかも干潮だったので、すぐ近くのバラテロ港脇に停めてもらった。妻はロングガウン、ロングヴェールなので大変。私たちは靴を脱ぎ、素足になってナグラビーチまで歩いた。これぞ、プエルトガレラである。自己満足のショートトリップだったのに、妻の父が温かい出迎えをしてくれた。
