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名もなく、清く、美しく。50年代の夢と希望は、いまもタフに生き続ける。シチズン手巻。
つくった人に会いたくなる時計があるとすれば、このシチズンではないだろうか。名もないが魅力的な昔の腕時計を手にすると、いつ、どういう場所で、どういう人たちが、どういう経緯でつくっていたか、知りたい思いに駆られる。どんな人に聞いても、どんな資料を漁っても謎なスイスウォッチなど特に、その過去を辿る旅を夢見たが、実際には跡形も残ってなくて味気ない現実を目の当たりにするのがオチなのだろう。思えば日本での古時計屋巡りはそういう旅の端緒だったのかも知れぬが、そういう探究心を超え、この手巻き腕時計には単純に製作者に敬意を抱かざるを得ない。1950年代半ばの製造で、日本で最初期の三針式だったというが、調べても名前が出てこない。ダイアル上には、CITIZEN WATCHの素朴なマークがあるだけだ。これまでこの「ウォッチマニアの成れの果て」シリーズでは、私が日常使いにしている時計から紹介してきているのだが、例によってこれも静岡県水窪の廃業した時計店から譲り受けたものだ。

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再生時に一度オーバーホールしただけなのに、なんと今現在も日差+約15秒と、ロレックス並みの驚くべき精度を保っている。それまでのスモールセコンド式からセンターセコンド(三針)式に変えることで、一秒一秒の時がよりリアルに視認できる。耳を当てるとスイスウォッチとは違った音が、チッチッチと元気に聞こえてくる。秒針が短いのは、当時米国で流行ったレクタンギュラーがそうしたデザインだったからか、それとも、小針式から三針式への移行期で秒針のあり方に神経が注がれなかったためか。インデックスのデザインは先に紹介したトゥガリスそっくりで、あるいは真似していたのかも知れぬが、大らかだが真面目な造りは見るからに丈夫そう。ラグの付根に焼けが見られるが、金メッキは厚めでいまだに輝きを失っていない。お洒落で、タフで、正確なので、街に住んでいた頃にはちょっとコーディネートして身に着けることが多かった。

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この機械はCENTERSECONDに加え、PARA SHOCK(耐震)、PHYNOX(切れにくいゼンマイ)と技術てんこ盛りだったのに、ネームさえ記されておらず質実剛健に徹している。裏蓋はスナップバックなのだが、サイドまで回り込んでいるのは1960年頃のインター(IWC)と同じ造りで、静岡市の三越だったかにインターを持ち込んだときに年配の時計師が「防汗程度の効果はある」といっていた。あるいはインターに先駆けてシチズンが採用していたのか。竜頭はオリジナルのままでCITIZENの頭文字Cが誇らしげな他は、革新的かつ高品質な技術を搭載しているのになんとも控えめなデザインだ。こんなに誠実なモノづくりには今日とうていお目にかかれない。「技術」とは声高に主張することなどではない、と55年ほどもの歳月を重ねたこの時計が教えているかのようだ。

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確かに、フィフティーズには夢があったと思う。まだ見ぬ未来への「夢」が。変な計算などせずに、人々は自分に正直に、まっすぐに生きることができていたのかも知れぬ。今はなんでも整い、小言ばかりいいたくなる時代になってしまった。だが昔は良かったなあと懐古趣味に陥るのでなく、昔を想うことは、人として原点回帰して勇気をもらうことができる。妻とバタンガスに出かけたので、久しぶりにこの腕時計を着けて行った。ブルーのベルトに合わせて、ブルーのボタンダウンシャツを着た。この時計の青は好きか彼女に訊ねたら、もちろんと返ってきた。軟らかいシルバーなのでもう擦れてきている結婚指輪が、ゴールドカラーのこの時計にはコーディネートできておらぬのが残念だった。彼女のお腹には私たちの新しい命がいるし、5年後にはコンビカラー(シルバー&ゴールド)の新しい指輪を買って、金、銀どちらでもコーディネートできるようにしようと思う。

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All the photos above: copyright © 2009 P. G. W. All rights reserved.
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テーマ:腕時計 - ジャンル:ファッション・ブランド

【2009/10/28 17:02】 | ウォッチマニアの成れの果て | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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